岩田さんとのありがたい思い出…２

『悪い材料は、最初にすべて明らかにしまった方が、良いと思っているんです』

 

これは後に任天堂の社長になられた大恩人の故岩田聡さんが

当時取締役開発部長だった株式会社ハル研究所が

1992年に事実上倒産して和議を申請し、

社長となってみごと計画通りに再建される途上でのエピソードです。

 

1995年くらいのことだったでしょうか。

ハル研究所はまだ再建途上ではありましたが、

かなり順調に業績を回復されてきたころです。

 

ゲーム「糸井重里のバス釣りNo.1」の全体マップを

3DCGでつくろうということになり、

当時はまだとても制作費が高額だった3DCGの

制作会社に一緒にうかがいました。

 

岩田さんはCG制作会社の社長さんに対して、

自社がいったんは事実上倒産して、

現在はまだ再建中であるという悪い材料を

一番最初にかなり事細かくご説明されて、

『それでもよろしければお取引をしていただけますか？』

とおっしゃったのです。

 

当時のぼくはハル研究所さんはもうかなりイイカンジに再建してきているのだから、

そこまで話さなくても別にいいんじゃないかと思ったので、

「なぜあそこまで話されたのですか！？」と帰り道にうかがったら、

『悪い材料は、最初にすべて明らかにしまった方が、良いと思っているんです』

というお返事をいただいたのを覚えています。

 

後から調べられて悪い材料を見つけられるくらいなら、

最初に自ら悪い材料をすべて出しきってしまい、

それを前提に誠意を持ってお付き合いをさせていただければ、

あとはむしろ好印象をもっていただきやすいという感じのお話だったと思います。

 

実は10年以上前の話ですが、

弊社（株式会社ダイスクリエイティブ）も一度つぶれそうになったことがあり、

およばずながらできる限り岩田さんの教えを実践させていただいたつもりです。

 

ベンチャーキャピタルやエンジェルの方などから出資をしていただき、

油断をしているうちに、

なぜかイスラエルやロシアに精通しているという、

怪しいコンサルと名乗る人物なども出入りするようになり、

危うくつぶれそうになったときに、

このことに限らず岩田さんから学ばせていただいたことが、

すべてを岩田さんのようには出来ませんでしたが、

とてもとても再建する上での糧になったと思っています。

 

岩田さんとの思い出は次回も続きます。

 

ここまで読んでいただいてありがとうございました。

 

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